福島第一原子力発電所の現状2(3月14日午前6時1分時点までの時系列グラフによる放射線量推移の可視化)

前回に引き続き、福島第一原子力発電所についての記事です。東京電力が発表した、3月14日午前6時1分時点(本日の三号機爆発は含まず)の福島第一原発で観測されたガンマ線量についてグラフにまとめました。
(福島第一原子力発電所の現状について http://www.tepco.co.jp/cc/press/11031405-j.htmlの別紙"福島第一原子力発電所モニタリングカーによる計測状況"より作成)


概要を述べると、正門付近、MP(モニタリングポスト)4では一時的な放射線量の増加はあるものの、基本的には放射線量は低いレベルで保たれているようです。これはマスコミで言われていることと一致します。しかし、MP2付近で、どうやら放射性物質が微量ながら漏れ続けているようです。


観測ポイントごとのグラフをご覧ください。(即席でつくったのでお見苦しく申し訳ありません)


■■グラフ1: 観測ポイントごとの放射線量(横軸:時刻 縦軸:放射線量(マイクロシーベルト、最大値はどのグラフも1000マイクロシーベルト))


■正門付近
→3つのピークがあるが、基本的には放射線量はほぼない


■MP1付近

→ほとんど放射線量は検出されていない


■MP2付近

→定常的に400マイクロシーベルト程度の放射線量が検出されている(微量の放射性物質が漏れ続けている?)


■MP4付近

→3つのピークがあるが、基本的には放射線量はほぼない

■MP8付近

→ほとんど放射線量は検出されていない


■グラフ1から言えること


・正門、MP2、MP4で数百から1000マイクロシーベルト弱の放射線量が観測されている。MP1、MP8付近では放射線量はほとんど上昇していない。


・正門では3つのピークがある。風向きはそれぞれ北、南南西、北西である。


・MP4では大きく3つのピークがある。それぞれ東北東、東南東、北北西となっている。


・MP2では定常的に他の観測ポイントと比べて比較的高い(数百マイクロシーベルト)値で維持されている。またピーク(820マイクロシーベルト)も観測されている。風向きのデータがないため、どの向きに放射性物質が流されているかは不明


・MP2以外の観測地点では、放射線は連続して高い値を保っているのではなく、一時的に値が大きくなって、またすぐに低くなるという経過をだどっている。のに対し、MP2では一定量放射線量が観測されている


・ピークの値はマスコミで言われているように、致命的な値ではない。


正門、MP4で高い放射線量が観測されていますが、定常的ではなく、一時的なものであるため、放出された放射線物質の量は少なく、風に乗って流されたとしても微量であるので、被ばくしたとしても人体に有害なレベルではないと考えられます。(がんが増加するなど人に害を与え始めるのは10万マイクロシーベルト以上(wall street journal http://jp.wsj.com/Economy/node_198254より))


注目すべきはMP2です。MP2では定常的に数百マイクロシーベルト/時の放射性物質が観測されており、積算するとそれなりの量(数千マイクロシーベルト)となります。この量を一度に浴びてもまだ健康被害は考えにくいとは思いますが、少し不安です。


■■グラフ2: 放射線量ピーク時の風向きと放射線
※上記グラフ1で放射線量がピークとなったときの風向きと風速


グラフの読み方
線の向き:風向き
線の長さ:風速(m/s)
線の太さ:放射線量(マイクロシーベルト)

線の色: 放射線を観測した場所と時刻


■グラフ2から言えること

・比較的高い放射線量(500〜1000マイクロシーベルト)の放射性物質が、西北西、西南西、南東、北、東北東(3/15修正)に流されている可能性がある。(ただし局所的な風向きのため、その方角で遠い距離まで放射性物質が流されているかは不明。"米軍が第一原発の北東の方向100kmで被ばくしているため、偏西風などで北東に流されている可能性がある"(""部分3/15追記))


■■総論
MP2以外の観測ポイントでの放射線量が風でながされて万が一被ばくしたとしても人体に影響を与えることはないと思います。
ただMP2の近辺で放射性物質が連続的に放出されているようです。つまり放射性物質が漏れ続けている、ということです。量は少ないといっても、閉じ込める対策が必要なのではないでしょうか。この物質が、どこかにたまってしまうとそこで局所的に放射性物質が高濃度になってしまう、という可能性があるのではないでしょうか?(専門家ではないので実際のところはわかりません。ご参考程度にしてください。正確なのは今のところ政府や東京電力の発表する情報ですので、そちらをチェックしてください)


現在福島第一原発は1〜3号機すべて冷却系統がダメージを受け、炉心の冷却を目指して必死の作業が続けれれていると思います。
この作業がうまくいくことを祈るばかりです。