CO2 25%削減って意味ある? 〜温度上昇抑制効果の検証〜

鳩山首相が就任早々に宣言した、"日本のCO2を25%削減する"ということが気になっていた。


今日はCO2の削減が、いみがあるのか(どのくらいの温度上昇の抑制につながるのか、CO2削減の効果)について考えてみた。


■CO2の25%削減は"焼け石に水"なのではないか?

結論からいうと、日本ががんばって二酸化炭素を削減しても、100年後にはMAX 0.026度、MIN 0.0004度しか温度上昇は防げないのではないか、という話。


■日本のCO2排出量、100年後の温度上昇


現在、地球上で人類の活動によって生み出されるCO2の量は、国によってことなっている。国別排出量の上位5国は以下のようになっている。


2006年の国別CO2排出量

1位: アメリカ  21.1% (57.6億トン)
2位: 中国    20.6% (56.2億トン)
3位: ロシア   5.7% (15.6億トン)
4位: インド   4.6% (12.6億トン)
5位: 日本 4.5% (12.2億トン)

※全国地球温暖化防止活動推進センターWebサイトから引用


日本は世界で5番目にCO2の排出量が多い国であることがわかる。
しかし、だれでも気がつくのが、その"量"である。上位二国は三位以下のおよそ4〜5倍程度ある。
この時点で、日本よりもアメリカ、中国が減らしたほうがうんと効果がありそうだ、と感じる。


そしてなによりも気になっているのは、CO2をどのくらい減らせば、温暖化はどのくらい阻止できるのだろうか、ということだ。


IPCCは、21 世紀末における世界平均地上気温をいくつかのシナリオに分けて考えている。それによると

一番変化が少ないシナリオで、0.6度
一番変化が大きいシナリオで、4度

となっている。


■日本人が全滅しても・・・

温度の上昇に、日本はどのくらい寄与しているのか、かなり乱暴だが、以下のように考えてみた。


地球温暖化のすべての原因は二酸化炭素の排出である。
二酸化炭素の温度上昇への寄与は60%(1度上げるのに、60%しか寄与しない)(2010/1/19修正)
二酸化炭素の増加量と気温の上昇度は比例する。
・国別の排出量の割合が2100年までこのまま。
→排出量割合がそのまま温度上昇の割合となる
→排出量割合*60%の値がそのまま温度上昇の割合となる。(2010/1/19修正)


※以下温度に60%をかけた値に修正(2010/1/19記)


この前提にたてば、

一番変化が少ないシナリオでは、0.6*4.5%*60% = 0.016度
一番変化が大きいシナリオでは、4 * 4.5%*60% = 0.11度

日本の全排出量がすべてゼロ、つまり日本人がみーんないなくなればこの温度上昇は防げる!ということになる。日本人全滅でも、このぐらいしかへらない・・・?


■では25%削減ではどうなる?
ここでCO2 25%削減を考える。


鳩山首相は、"1990年比25%削減を目指す"とおっしゃっています。1990年の日本の二酸化炭素排出量は約11.4億トンなので、11.4*25%=2.9億トン削減するというわけ。
つまり、2006年度の世界の総排出量において、1.1%分削減するとおっしゃっています。


この数字で計算すると、CO2 25%削減による温度上昇抑制の効果は、
一番変化が少ないシナリオでは、0.6*1.1%*60% = 0.004度 !!!!!
一番変化が大きいシナリオでは、4*1.1%*60% = 0.026度 !!!!!



これって達成する意味あるのかな。この程度の温度上昇なんて、自然の世界(気候、生態系)にとっては許容範囲なのでは?
(人間の生まれるまえ、地球はこれよりもずっとおおきな気温の変動を経験しているはず(地層などからいろいろ調べられてます)。それでも生命はちゃんとつづいています)


また日本として、これをコミットする意義がどうも見出せない。
もしもっと効果がある、もしくは上記の試算の気温でも抑制する意味がある、といった意見があるならば、勉強したいので、教えてください。
(上記の計算は私の仮説です)


日本特有の優等生ぶっているだけで中身がない、ひじょーにアホな状況なのでは・・・?


もし、どうなるかわかんないからとりあえず削減しておく、のならば、国民に温暖化対策なんて大きな声では言えないのではないか。


ちなみにモデルはかなり乱暴なので、数字は参考程度にしてください。
二酸化炭素の排出量と、温度上昇の因果関係についてよりよいモデル(単純化しているが、本質をとらえている)があればどなたか教えてください。


※上記は私の個人的な考察です。一般的にそういわれてるのか、どのくらい正しいのかは保障しかねます。もし本当かな、と思ったら、ご自分で調べたり、考えたりしてください。
もし間違いなどを教えていただければうれしく思います。