福島第一原子力発電所の現状と想定される最悪のシナリオ
いきなりですが、あまりにも気になるので、福島第一原子力発電所(以下福島第一原発)の1号機の現状とリスクについてまとめたいと思います。
■現状
原子力発電所では、放射能を封じ込める"5重の障壁"を設けています。
燃料に物理的に近い順に述べると、
第一の障壁:ペレット
第二の障壁:被覆管
第三の障壁:原子炉圧力容器
第四の障壁:原子炉格納容器
第五の障壁:原子炉建屋
となっています。(東京電力ホームページ:http://www.tepco.co.jp/nu/knowledge/safety/safety01-j.htmlより)
2011年3月12日23:30現在、福島第一原発1号機の、これらの障壁は以下の状態と推測されます。
第一の障壁:ペレット →炉心溶融によって一部損傷(?)
第二の障壁:被覆管 →炉心溶融によって一部損傷(?)
第三の障壁:原子炉圧力容器 →損傷なし(?)
第四の障壁:原子炉格納容器 →損傷なし(?)
第五の障壁:原子炉建屋 →爆発で全壊
つまり、5つある障壁のうち、3つがダメージを負っている状態と想定されます。第三、第四の障壁が頼みの綱です。
つまり、設計上の観点からいうとかなりリスクの高い状態、非常事態なのだと思います。
なお炉心溶融で第一の障壁、第二の障壁が破壊されているようですが、外部で計測される放射線量が一時観測された1015マイクロシーベルトから減少の傾向にあることから、その炉心溶融の程度は今のところは浅く、進行は止まっているのかもしれません。
■今後の想定される最悪のシナリオ
現在、第3の障壁、第4の障壁を水/海水で満たし、炉心溶融を回避することをめざし、政府は動いているのだと思います。
しかし、①炉内の圧力上昇、②炉心溶融の進行/温度上昇、③残る2つの障壁の強度の劣化、がそろうと、大規模な炉心溶融、すなわちメルトダウンののち大爆発が起こり、高濃度の放射能物質の放出が起こる可能性もあります。
障壁の強度に着目すると、余震や建屋を吹き飛ばした水素爆発で何等かのダメージを負っている/負う可能性は十分にあると思います。
なので、まだ予断は許さない状況だと思います。
原子炉と格納容器を水で冷却する作戦がうまくいくことを祈るばかりです。