「情報」に関する3つの重要なスキル〜”情報化”の本質を捉え、情報化社会を生き抜くために

昨今、「情報化」という言葉が聞かれるようなって暫く立ちます。あなたはこの「情報化」をどのようにとらえていますか?
一般的には「情報化」というと、電子メールやインターネットのような、
電子メディアの発展というようなイメージを持たれる方が多いと思います。


ですが、本当の「情報化」とは、そのような電子メディアの発展のことを指すものではなく、「価値あるものを生み出すための営み」のことです。
そして、この営みは今に始まったものではなく、昔からある普遍的なものだと思います。


また、「情報化」に関する能力を身に着けることは、それこそ電子メディアが発達し、情報が「溢れる」これからの社会において、より重要になってくるでしょう。
ここでは、本当の「情報化」とはなにかを考え、そのうえで、これからの「情報化」社会を生きていくうえで大事だと思う3つのスキルについて述べます。


■"情報化"とはなにか


まず、「情報化」とはそもそもどんなことを指すのか、それを考えてみましょう。


情報化、ということについて解剖学者の養老孟司さんがその本質を捉えたコメントをされています。
養老孟司さんは、ある現象、状態を生身の身体で捉え、そこから伝えるべきこと、
気づきのようなものを言葉、数値、写真、映像、として表現すること、平たく言えば情報を生み出す行為そのものが「情報化」なのだというようなことを言っていました。


つまり、世の中に情報が溢れかえっていることさすのではなく、情報を生み出すことそのものが"情報化"である、という指摘です。
これは"情報化"の本質を捉えている考え方だと思います。


また"情報化"は現代に特有の現象であると考えられているのではないかと思いますが、実は情報化社会は現在に始まった訳ではないのです。
学問、ジャーナリズム、文学、などその本質は「情報化」です。


つまり普通の人が見たり触れたりしてもそのまま通り過ぎるような事柄、物事を、感受性、論理力、観察力、等々を駆使して捉え、そして表現すること、これがこれらの職業の本質です。


その情報を流通させることで社会をより良くしよう、というのが彼らの使命であり、仕事なのだと思います。
そしてこうした職業は古来から存在しています。


■"情報化"の価値〜情報化は社会をよりよくする〜


情報を生み出す仕事は、どのような価値を持つのでしょうか。
たとえば学者であれば、これまで人類が知らなかったことを"情報化"することで、つまり発明、発見をすることで、日々の暮らし、社会に役に立つものを生み出したり、生きる上でのリスクを下げたり、利益を多くしたりすることに貢献します。


新聞記者、そのほかジャーナリストであれば社会におきていることを知らせることでその情報を受け取った人が正しく、
不利益をこうむらないように行動をすることに貢献し、また情報そのもので受け取った人を喜ばせるというエンターテインメントの側面での貢献をします。
このように、"情報化"はそれを受け取った人になんらかの恩恵を与えるという"価値"を持っているとおもいます。


■「情報化力」、「情報活用力」、「情報目利力」3つのスキルを磨こう


このように”情報化”は社会における価値を生み出します。
情報化に関するスキルを磨いていけば、これからの社会で活躍し、社会への貢献を果たすことができる、と考えています。


先ほども述べましたが、最近情報化社会といわれています。これは世の中に情報があふれている状況をさすことが多いですが、
その本質は今まで無視されていたこと、気づかなかったことがどんどん気づかれていくようになる、共有できるようになる、ということだとおもいます。
それは一昔は学者や記者など一部の人しかできなかった「情報化」が、ツールの発達、教育の向上により誰しもができるようになってきたからだと思います。


これからもその流れはどんどん進んでいくでしょう。


これからの社会では、「情報化のスキル」つまり起こっている物事を表現する能力が、その人の生きていくうえでの一つの大きな力となるのでは、とおもいます。なぜなら意味のある情報を生み出すことのできる人間は社会的、市場的に価値があるためです。この力を「情報化力」と呼びたいと思います。


どんな分野でも、この力は必要です。医師は"所見"といわれるフォーマットで、症状を情報化します。警察も事件で起こったことを文書や写真、物的証拠の塊として情報化します。ジャーナリズムは社会で起こっている課題を問題提起する、情報化力が主に問われる分野です。また学問の世界も学者は論文や本を出版する、という形で情報化を行います。


「情報化」はこのように専門的な職業のみではなくビジネスマンや主婦にも求められる力です。
市場で起こっている事柄を捉え、どうしていくべきか情報化し、他者とコミュニケーションをとる、という力なくてはビジネスは成り立ちません。


主婦も、たとえば子育てや家事全般で情報化力は必須です。赤ん坊がないていれば、おなかがすいたのか、オムツを取り替えてほしいのか、それともどこか具合が悪いかのか。情報化をして、それをもとに自分で判断し行動しなければいけません。主婦はこのように情報化力、この後述べる情報活用力、情報目利力が日常的に求められ、常に研鑽されているスキルの高い人たちだとおもいます。


さらに、この「情報化力」に加え、2つの情報に関するスキルがあると思います。
1つは、情報をどのように活用していくか、といったことです。この力は「情報活用力」と呼べるのでは、とおもいます。


たとえば、株価の情報を活用して利益を上げる投資家、各種情報を活用して国政を担う政治家・官僚、会社の行く先を決める経営者、赤ん坊の様子をみて何をすべきかを判断する母親など、例はバラバラですが、どれも情報活用力が問われる人たちです。
そしてその情報活用力が高い人たちほど、よい仕事ができる、つまり社会に家族に貢献できる人たちです。


最後の情報に関するスキルは、価値のある情報はどれかを見極める力です。
これは「情報目利力」とでも呼ぶべきものだとおもいます。


これは、同じようなことに対して複数の意見があったりした場合にどれを採用すべきなのか、ということを考え判断する力です。
政治でいえばA党とB党、そのマニュフェストのどちらがよいのか。
メディアで言えばA局とB局、ニュースに価値があるのはどちらか。
赤ん坊にのませるべきミルクはA社のものかB社のものか(物の選択においても結局は"もの"を情報化して得られた情報を判断していると考え、このような例を挙げました)。


この3つのスキルはどんな仕事でも求めらるものであり、これらに秀でていれば、どんなセカイでも生きていけるのでは、と思います。


#この文章は2010年12月30日に初めて公開したものを、一部修正して2014年8月27日に再度公開しました。