福島原発 最悪のシナリオは回避できたか?

福島第一原発で事故が起きてからもう1か月が過ぎました。
この1か月はあっという間でした。
そして原発もまだ予断を許さない状況です。


このブログで以前最悪のシナリオを描きましたが、1か月たった今、原発はどのような状況にあるか見直し、最悪のシナリオは回避されたのかを検証したいと思います。


最悪のシナリオとは、「大規模な炉心溶融、すなわちメルトダウンののち大爆発が起こり、高濃度の放射能物質の放出が起こる」というものです。
ポイントは「炉心溶融」「大爆発」「放射性物質の漏えい」です。これらのポイントについて1つずつ検証したいと思います。


まず「炉心溶融」ですが、大規模ではないものの、漏れだしている放射性物質の種類から、起こっている可能性が高く、またその量から相当程度の溶融がおきています。つまり、最悪の状態になっている可能性があります。


次に「大爆発」ですが、これは原子炉本体、もしくは原子炉格納容器が爆発し、放射性物質放射線の遮蔽機能が喪失してしまう事態を想定していました。
大爆発は回避されたものの、窒素を注入しても内部の圧力が上昇しないことから、おそらく原子炉本体、原子炉格納容器に「穴」があいている可能性があります。5重の障壁のうちの、最後の砦となるべきものが損傷している可能性があります。
よって、大爆発によって障壁が全損することはありませんでしたが、放射性物質を閉じ込める、という機能は損なわれている可能性が高く、最悪まではいかなくても、相当状況は悪いとかんがえらえます。


最後に「放射性物質の漏えい」ですが、これは先日政府から発表があったとおり、相当量の放射性物質が漏えいしていることが試算されています。チェルノブイリの1割程度とのことですが、それでも相当量のようです。

この放射性物質の漏えいが一番社会にインパクトがありますが、原発周辺地域の放射線量を考えると、かなり状況は悪いです。
まだ放射性物質が原因で亡くなった方はいらっしゃいませんが、今後のこの地域のことを考えると、事態は相当深刻と言わざるを得ない。
今の状態でも、原発周辺の地域に限って言えば、すでに最悪の状況だと思います。


しかし、日本全国、世界、という観点から考えると、まだ最悪にはなっていないと考えます。
福島原発の全放射性物質がすべて漏れ出て、より広範囲に影響がでることが本当の最悪とするならば、日本全国、世界、という観点では最悪には至ってないと思います。
ですがそうなってしまう可能性は、現時点では十分にあり得ます。



以上3つのポイントの状況から、現在の福島第一はすでにかなり悪い状況になっているが、日本や世界レベルでの最悪のシナリオになるかどうかはまだわからない状態であるとおもいます。つまり、最悪のシナリオは回避できていないのではないのではないでしょうか?


政府、東電は、より広範囲に影響がでないよう、放射性物質の閉じ込め、そして冷却を安定的に実行できる仕組みの構築に取り組んでいますが、その試みが成功することを祈るばかりです。
また過酷な労働を強いられている現場のかたには本当に感謝しきれません。
無事に作業から帰還できますよう祈るばかりです。