原発はなぜ怖いのか 

福島原発、一向に改善の兆しはありません。
そして放射性物質放射線の不気味さが、日本の、世界の不安をあおり続けています。


なぜ、原発はこんなにも不安を引き起こすほど恐れられているのでしょうか?


最近、焼肉店での生肉をつかった料理に病原性大腸菌O111が付着し、これによる食中毒事故が発生し、死者も出ました。


この食中毒と原発を比べると、原発がなぜ怖いのか、浮き彫りになるのではないでしょうか。


原発事故と大腸菌の食中毒、死者が出ているのは後者です。
福島の原発事故では、放射線が直接の死因となる死亡事故の報告はありません。


死者が出る事故と、死者の出ない事故、単純に比べれば怖いのは死者の出る事故だと思います。


しかし、原発事故と食中毒事故どちらが恐ろしいか、と聞かれれば、それは原発事故なのではないでしょうか。
ではなぜ死者の出る食中毒より、死者の出ていない原発事故のほうが怖いのか?


食中毒事故が原発と比べて怖くないのは、"慣れ親しんでいる事故"であるから、というのが答えだと思います。食中毒は、毎年のように起きています。そして死者もしばしば発生している。つまり、食中毒で死者が出ることに"慣れて"いる。
また、原因、対処法、また被害の程度も比較的よく理解されています。なので、対処を誤らなければ回避できる、ということを皆知っています。



食中毒事故に比べ原発事故はめったに起こるものではない。そして、その危険性についてはメディアなどから聞いていて頭では理解してるが、実際にどうなるかを目の当りにした人間は日本にはほとんどいません。
そして、"低い線量の放射線にさらされた人間がどのような障害を起こすのかまだよくわかっていない"、という事実が原発の恐ろしさの源であるのだと思います。つまり、よくわからないから怖い、ということなのだと思います。



つまり、実際に死者が出ているかどうかにかかわらず、よくわかっているものは怖くないが、よくわからないものは怖い、ということなのでしょう。