世界のCO2削減のために、日本に石油を使わさせてもらおう 〜効率のよい日本だからこそできること〜

今日は、日本は"世界の二酸化炭素削減"のために(ひいてはエネルギー転換のために)、積極的に石油をつかわせてもらおう、という考えについて述べたいと思います。



■世界でトップクラスの効率を誇る日本
いま、世界の工場は中国です。また東南アジアもたくさんの製品を作っています。


これらの国々の製造業のエネルギー効率はおそらく日本よりひくいのではないでしょうか。また先進国も日本に比べても低いのではとおもっていたら、こんなデータがありました。(資料のP3を参照ください。)


日本は先進国のなかで、製造業のエネルギー効率が一番よいようです。


同じもの同じ数だけ日本と中国に作らせた場合、少ない石油で済むのは日本のほうです。
おそらく、世界の需要をより少ない石油で満たすことのできる国は、日本が世界で1番なのではないかと思います。


この事実は日本にとっての武器です。
世界中で作られているものを日本に作らせれば、残り少ない石油を上手につかってモノを作ることができます。


日本はこの事実をもとに、世界のためにすべきことがあります。


■世界のために、日本に石油を使わさせてもらおう
世界の各国で製造しているものを、すべて日本の企業が作ったら、どの国が作るよりも少ない石油で、二酸化炭素で作ることができます。


日本だけでみれば、使用する石油、二酸化炭素の量はものすごい量になりますが、世界全体で見れば、かなりの量が削減されるはずです。(特に中国、アメリカの削減量は半端ないでしょう)


日本は世界に対して、俺たちが全部つくるよ、そうしたらエネルギーにも環境にもいいよ、といってもいいのではないかな、と思います。



■とはいっても・・・
もし上記のことを世界にいっても誰もとりあってくれないでしょう。
なぜならば、日本が全部作ることになれば、自分の国の稼ぎを全部日本に持って行かれてしまうからです。

ですが、日本以外の国が製造すれば、石油が無駄にされ、たくさんの二酸化炭素が排出されるのも確かです。
なんとかうまくできないでしょうか・・・




■世界の各国の製造効率をあげ、エネルギー転換を進めるためには
昨日までにこのブログで考えてきたように、一番こまるのは、代替エネルギーへの転換の前に、石油が尽きてしまうことです。またたくさんの石油をつかって二酸化炭素を排出するのも、環境にはあまりよくないでしょう。


ではこの問題を解決するためにどうすればよいのか。
3つの考えがあります。


1. 石油の使用制限を国際ルール化
各国の石油の使用量を制限します。すると、各国は限りある資源をやりくりしてモノをつくり、稼がなくてはいけません。
これは生産効率の向上、代替エネルギーへの転換への圧力となります。

しかし、なかなかこれらができない国にとっては、経済成長できることができず、きびしいこととなるでしょう。

ですがこのルールは日本のような生産効率のよい国が稼ぐ上でとても有利なものとなるでしょう。
日本はこのようなカードを持っているはずなのですが、外務省や政府はどのように考えているのでしょうか・・・?


2. 製造コストに、生産効率を上乗せする
これは、エネルギー効率の悪い製品は、販売価格を高くする、ということです。


たとえば、車を製造した際、エネルギーの使用量が日本を1としたとき、中国は1.3かかるとします。
この1.3倍の分を、車の製造コストに上乗せします。(製造原価に1.3をかける、など)

すると、通常の原価では中国のほうが安くでも、エネルギー効率が低い分高くなってしまう、ということになります。


このことで、エネルギー効率が高く製造された製品は、効率の低い製品に対して競争力をもつことができるかもしれません。

そうすれば、世界でエネルギー効率の低い製品が売れなくなり、石油の使用量は下がるのではないでしょうか・・・?

また、エネルギー効率の低い国にはやはり、生産効率の向上、代替エネルギーへの転換への圧力がかかることになります。

そしてもしかしたら日本の製品がたくさん売れる、ということにもなるかもしれません。


3. 技術供与

これは、日本のようなエネルギー効率の高い国が、中国などのような国へ生産技術の供与を行い、これらの国の効率を引き上げる、というやり方です。


このやり方は代替エネルギーへの転換という観点にはあまり関係がありませんが、各国の効率を上げるという意味では確実に効果があるのではないでしょうか。


もちろん技術供与はただではなく、お金をもらうべきだと思います。(近い未来、中国は日本よりお金持ちになるはずです)

この3つ目のアイデアは、1、2と組み合わせてやると効果的だと思います。



■日本は戦略的に世界の代替エネルギーへの転換を主導すべく、国際社会に対してアクションをとるべきである。


上記の3つのアイデアのうち、1,2を実現するためには国際社会でコンセンサスを得、ルール化する必要があります。ですが、どちらのアイデアもエネルギー効率の悪い途上国にとっては反発を招くものでしょう。


しかし、石油をこれらの国の好きなだけ使ってもらうわけにはいきません。二酸化炭素の排出量も下げてもらわなければいけません。


彼らの経済成長は、化石燃料への依存度を下げつつ進めてもらわなければなりません。
そのために、国際ルールにのっとってもらい、日本の技術を利用してもらいましょう。


そして日本は、このようなルールを引くことを主導し、世界のエネルギーの枯渇、二酸化炭素の排出の削減に貢献するべきではないでしょうか。


いまのところ、このような動きは一切みられませんが、その可能性、日本が得ることのできるメリット、世界のとってのメリットについて、一考する余地はあるのではないでしょうか。


また、1,2を進めれば、日本のCO2排出量は一時的に増加するでしょう。
しかし、世界全体の二酸化炭素の排出量を下げるという可能性もあります。


こう考えると、"CO2 25%削減"という目標は、日本1国のことのみを考えた小さなアイデアである気がします。
日本の排出量を上げることで、世界の排出量を下げる、という考えもあるのではないでしょうか。



■日本のエネルギー効率の良さは、経済成長の大きな武器である
上記の3つのアイデアを実行すると、エネルギー転換、二酸化炭素の排出の削減にも貢献しますが、日本の経済にも大きな効果を及ぼすと思います。


なぜなら、日本の製造業の需要が向上するからです。技術供与によっても経済効果があるでしょう。
しかし、日本が儲けるとなると、いくらエネルギーのため、二酸化炭素のためによいといってもほかの国はよい顔をしないでしょう。


そこで、なので、儲ける主役はあくまでも中国、その他途上国でよいと思うのです。
1,2のようなルールを引いても、原価の圧倒的な安さで、日本よりも途上国の製品のほうが競争力をもつでしょう。
日本は技術供与のような形でかれらの経済発展を助け、その対価を得る、というモデルで一緒に成長していく、というやり方もあるのではないでしょうか。