日本が目指すべきは"CO2削減"ではなくて"石油使用削減"なのではないか?

今回は昨日のべたことをもう少し進めて考えました。


それは、タイトルにもあるとおり、日本は"CO2削減"ではなく"石油使用量削減"を目指すべきではないか、と考えました。


二酸化炭素排出量は化石燃料の使用量を反映している
世の中の言説をみていると、二酸化炭素排出量は地球温暖化とともに語られることが多く、エネルギー問題と語られることが少ない印象があります。


ですが、昨日も述べたとおり、二酸化炭素排出量はエネルギー問題と密接につながっています。


現在、各国のエネルギーにおいて、化石燃料が大部分を占めています。そして化石燃料は枯渇する運命にあるとの見方が科学者の間では優勢です。(詳しくは『地球最後のオイルショック』新潮選書を参照ください)


つまり、各国はいずれなくなるエネルギーに大部分を依存しているということです。


そして二酸化炭素排出量はその使用量を反映しています。




二酸化炭素削減 = 化石燃料からの転換 という視点

二酸化炭素地球温暖化の原因であり、削減は地球温暖化防止のため、というのが一般的に言われていることです。


日本に限っていえば、日本が多少削減したところで温暖化防止の効果はタカが知れていると思います。
ですが、化石燃料からの転換という観点では、25%どころか、もっと削減を進めてくべきだと思います。


なので、地球温暖化の防止のために二酸化炭素を削減する、という目標では25%にとどまりますが、化石燃料からの脱却を目指せば、もっと大幅な削減量を目指さなければならないのでしょうか。(いずれなくなってしまうので、究極的には化石燃料からの排出量を100%削減する必要があります。100年はかかると思いますが)


つまり化石燃料の削減をめざすことによって、よりやるべきことが明確になり、目標とする削減額も適切に設定されるのではないかと考えています。


■本当に二酸化炭素削減はエネルギー転換を促進するか


日本は2025年までに二酸化炭素を1990年比で25%削減する、といっています(sus-edu さんから教えてもらいました。ありがとうございます)。これは、2025年までに化石燃料(≒石油)のエネルギーに占める割合を下げる、といっているのに等しいです。


私は、いずれ枯渇するエネルギーへの依存度を下げるという観点から、二酸化炭素削減の政策を支持します。
ただ、石油の使用量を下げる、ということが本質的だと思っています。


二酸化炭素の排出量を削減手段としては、2つあります。それは化石燃料の使用量を下げる、もうひとつは二酸化炭素排出権を購入し削減量を購入する、という方法です。


日本はこの方法も使うことで、実際の二酸化炭素の排出量の削減をかなり減らすことができる。(詳しくはここを参照)


だが、この方法をとった場合には(少なくともその国は)化石燃料の使用量を減らすということが達成できない、という問題がある。


数字上、二酸化炭素の削減が達成されても、それは日本の実際の二酸化炭素の排出量は下がらない、よって化石燃料の使用量も下がらない、ということになります。


これは日本のエネルギー政策の観点からよろしくないことだと思います。つまり枯渇するエネルギーからそうではないエネルギーへの転換が進まないからです。



また日本に排出権を売った国では、正味の二酸化炭素が削減した分を売るのではなく、より安い値段で別の国から排出権を買うかもしれない。
おそらく、売り買いによって正味の二酸化炭素の排出量がどこまで下がるかは、やって見なければわからない。(やってみても取引データの集計が難しくで、結局わからないかもしれませんが・・・)


よって排出権売買は正味の地球上の二酸化炭素の排出量を下げるかどうかは疑わしいと考えています。


そうなると、枯渇する可能性のある化石燃料からのエネルギー転換への進みが遅くなります。
(もちろん地球温暖化の防止もおそくなってしまいます。)

なので、枯渇するエネルギーへの依存度を下げるために、二酸化炭素の削減よりも、化石燃料の使用制限を進めるべきではないかと思うのですが・・・